女教師ブログ
現代文化論Iの学生の感想
※2/13追記:面白かったので2002年、2004年も追加しました
福島大学の現代文化論Iで、学生が授業後に書いた「感想」がアップされている。
授業を受けたわけではないので、よく分からない部分もあるが、なんとなく推測できる箇所もあって、学生の「誤解」「曲解」(それ自体は知識が不足している段階では仕方ない現象だと思う)に対して嫌らしい感じでコメントをしている高橋先生が面白い。
個人的な印象で根拠も何もないんだが、社会分析のセンスというか、社会学的想像力みたいなものはいわゆる「地頭力」とか「思考の柔軟性」なんかでは、なんともならないものだと思う(小飼弾じゃないが、本を読めというオチ)。
以下コピペ
凡例
学生の感想
※:高橋先生のつっこみ
現代文化論:2003年度
"ことば"は本当に難かしくて、話した人の意図することが聞いた人にうまく伝わらないことは多々あります。テレパシーはどうなんでしょう?
※それは使える人に訊いてください。
感じたこと、考えたことを言葉で表現する難しさをあらためて感じた。1つ思ったのは、この感想もなかなか書けないということ。
※だいじな点をついているじゃない。
理想体重を計算してみた。来週の授業はへこみそうです。
※いや、この式はそういうふうに使うものじゃないので、へこまないでください。「みんなの理想」はあなたの理想じゃなくて当然だし、現実と違うのはなおさら当然です。
毎回ちゃんと話を聞こうとがんばるんだけど集中力がきれて寝てしまいます。どうしたらいいですか。
※それはわたしに聞かれても(^^;)。わたしも大学時代よく寝てましたけどね(^^;)。
階層の話は本当におもしろいです。日本はないように思っていましたが、よく考えれば私も無意識に分類してしまうことがありました。事務の人が「スポーツ新聞や女性週間誌[ママ]を読む」に多いのは(特に女性)ヒマだからですか?
※それは事務職の人に対して失礼な言い方だと思いますが……。
女は体ではなく性格で選ぶべきです。
※実践してるのかな……というのはともかく、ウィリスも別に「野郎ども」が女性を「体で選んでる」と言っているわけではありません。彼らにとって女性とはセックスの相手であり、家庭の安らぎの担い手と考えられている、というだけであるので、別に性格で選んでもかまわないわけです。
男性の女性に対する考え方が分かった。そう言われてみれば、思いあたる節もある。男性はよく、自分の権力をみせたがるように思う。
※あれはあくまでもイギリスの労働者階級の十代男性の話(1970年代)なので、みなさんが具体的に経験する場合はあの通りではないかも知れません。そうだったときに本質を見誤らないためにも安易に一般化はしないで下さい。
ハビトゥスが態度やふるまいから研究しているのに対し、ブルデューは言語から研究していて、お互い反対のことから調べすすめているのに共通点をもっているのがおもしろかった。
※これは単純な思い違いだと思うのですが……ブルデューが使っている概念が「ハビトゥス」。言語体系について紹介したのはバジルバーンスティンの研究です。
文化的再生産の話で、バーンスティンの言語の親和性について、すごく納得できる話だと思った。大学の授業が始まる前の騒がしさに結びつけると面白いかも。
※いや、どう結びつくのかよくわからないんですけど(^^;)。
ホロコースト中に対象の人々どのような?
学校が労働者を再生産していると聞いて驚いた。現代は教育システムがよくなったかも知れないが、学生のやる気によっても、この大学を生かすか殺すか変わると思う。
※ちょおっっと話がずれているような気がします(^^;)。あまり言葉づらだけでわかろうとしないでください。
ジェンダー論の話を聞くと自分が小さいころから、「男だったらよかったのに」と言われていることを思いだしてしまい、腹がたちます。
※……わたしが怒られているわけではないですよね?(^^;)
女子高生はジェンダー批判をしているのですか? 女子高生は女の子らしさを求めているような気がするのですが……。
※下の人の意見を見て下さい。
女子高校生モードの話で、学校の規則に対する抵抗と、学校のもとめる女らしさ(ジェンダー)の抵抗をしつつ、しかしながら実際は社会にある女子高生らしさのジェンダーにとらわれている。って解釈であってますか?
※そう、ある特定のジェンダー規範(学校の求める「女らしさ」)には「抵抗」するけれど、それは別のジェンダー規範(女子高校生モード)への同化によってであるということですね。
現代文化論:2002年度
いきなり音を書き出すことになって驚いた。でも、先生の話は結構おもしろくて、寝ずに聞けた。自分では「文化」ということをわかっていたつもりだったけど、改めて考えてみるとわからなかった。
※なんか寝るのがデフォな書き方っすね(^^;)。
関係ないのですが、なぜ右手の薬指に指輪をしているのですか?(結婚指輪っぽい) おもしろい先生だな以外何も思いませんでした。どこか神経が切れてるかもしれません。
※さてここで質問です。あなたはわたしが「女性」だったら、同じ質問をしたでしょうか?
最初は、何をやらされるのかと思ったが、思ったよりも、まともそうな感じなので安心した。
※安心するのはまだ早いですね
先生から異様なオーラが出てるのを感じた。
※気のせいです。
やはり、第2回目の講義も正直理解に苦しむ(?)内容だった。「文化」に携わる人は感性も常人には理解しがたい、というイメージが自分の中にあったが、本当にそうなのか?と思ってしまった。自分も感性を一層磨いていく必要があるのかなあ……と思った。少なくともこの講義に出る以上、感性を磨くことは重要……ですよね? でも、あまり難しく考えすぎると余計に理解不能になってしまうので、あえて単純に考えていきたいと思う。講義に関しては、退屈しにくい内容で、いいと思った。
※いえいえ、磨いてもらうのは「知性」です。間違えないように。
ピアスでダイエットできるなんて知りませんでした。神話作用のところのSA、SEって何ですか?
※いやそれは、前回こなかったのが大きいと思うんですが……(^^;)。ちなみに、ピアスでダイエットするんじゃないです。
高校三年の時、集団体重測定で体重を測らされた。担当の教官に「お前は鶏ガラか!」と言われた。ショックだった・・・入学して一人暮らしをするようになってからさらに3垳困辰拭
※体重は、まあ何キロでもいいけど、健康には気をつけてね。
ダイエットについての集計結果をみて、日本人(留学生がいたとしても)はやはり、同じ民族、集団なので、理想体重などが一致していると思った。単一民族神話があるような気がした。
※あなたがそう考えてしまうところに「神話」があるのではと思いますが……。
なぜ落雷はない
好きな曲が職業によってここまでハッキリしているとは思わなかった。自分は「美しく青きドナウ」が好きだから、生産労働者に向いているのかな。なんか嫌だな。
※このグラフはそういうふうに使うものじゃありません。どちらかというと、皆さんの場合はまだ出身階層のほうに規定されているかな。
私は女子高生になった時、スカートを短くしました。流行だったし、中学生と区別をつけたかったから。(←うちの中学はスカートを短くする人はあまりいませんでした)
※で、今は女子高生と差別化するために、また別なことをしているのでしょうか?
文化資本を多く持った女性と結婚したいとものすごく思いました。知的な女性はイイですよね。
※……あ、そ。(^^;)
美術館にいくほど熱心ではないけど、絵に多少興味がある、という人がいるように、必ずしも社会的・文化的と分かれるものではないと思う。
※そういう人はいます。だけどだからなに?
学歴資本の活用法がこれだけだとはいいがたい。
※だれもそんなこと言ってないって。
私は高校時代、野球部のマネージャーだった。確かに雑用ばかりだったけど、一生誇りにできるぐらい楽しかったし、充実していた。大学でもやっているが、物足りなさを感じる。女子マネと男子マネの仕事の違いは、男女の性質の違いだと思っている。
※それだと説明したことにならないでしょ。
現代文化論:2004年度
ただきくだけじゃなく演習みたいなのを組み込んでいるのはなかなかおもしろいと思う。
みなさんはおもしろいですみますが、わたしのほうはあとの処理とか、けっこう大変なんです。そこまでわかっていただけたら、と思います……。
まだ文化に触れてみた感じがしなかった。自分の想像していた文化論と違っていた。
どういう想像をしていたのか分かりませんが、学んでもいないものに対する想像って、たぶんズレたものだったんじゃないかなと思います。ほかにも、心理学という学問に対する誤解とか、けっこう大きいものがあるようです。あまり先入観にとらわれない、そういうことにも気をつけていってほしいと思います。
1日目の話しを聞くと、高校の授業とは全く違うようで、不安に感じる。
よく言うんだけど、同じじゃ困るでしょ。(笑)大学へわざわざ来る意味がないから。
文化の定義などはまじめに考えたことがなかった。きっと、これからも考えないで生きていくのだろう。
……いや、そう達観されても(^^;)。
よくわからなかったです。でも先生が頭がいいということはわかりました。あと関西弁好きなのでもっと聞きたいです。
なんやねん、そりわ(^^;)。関西弁フェチ?(笑)
今日の授業でちょっと統計学に興味を持った。もう少しくわしく教えてもらいたい。
いや、この授業は統計学の授業じゃないので……大事なのが分かって興味を持ってもらえればよいのです。でも、ほんとはすぐ勉強できるといいんだよなあ。
こないだの話と、ちょっとかぶってた気がする。
だって復習だもの。
がある場合は、 .........
先生は講義中に『文系だから得意』という風におっしゃっていましたが、私はあまり文系・理系を区別するのは好きではありません。文系でも数学が好きな人がいたり文を書く能力は〜系関係なく個人の才能であると思います。文系学部にいるからといってみなひとくくりにされるのは嫌です。区分するものは違いますが、こういうのが男女差別につながるのではないでしょうか?
はい、今回は「売り言葉に買い言葉」のような感じで、おとなげなかったなと思います。(文系なので統計は〜的な決まり文句に対する。)ただ、あまり何でもかんでも全部一つのものに結びつけない方がよいでしょう。逆のことで苦しんだのが日本の女性運動の70年以前の歴史だと思います。
自分の目上の人や、先生、親などは、権力関係が働いているとわかりやすいが、友達や普段さほど気にしないで付き合っている人たちの間にも権力関係が働いているんだなと思った。返していないCDがあったら、返せっていう権力が働いているんですかね(・_・;
楽しい例ですね。(笑)なるべく返すのが当然というふうに思うのが権力の作用ですね。
政治とは社会の成員間に働く力関係とのこですが、その最大のものは戦争ですか? それとダイエットが結びつくとは驚きです。
この場合戦争とは国家間の紛争解決の手段で、権力とはちょっと違うかも。
もしトランスジェンダーの人が手術などによって身体的特徴を異性と同じものにしたとして、その上でその人のセクシャリティが異性(外見は同性)に向いた場合はその人はヘテロ、ホモのどちらになるのでしょうか?
トランスジェンダーをすきになったヘテロセクシャルはどう呼べばいいのでしょうか
上の人もそうですが、それを知ることはあなたにとってどういう意味があるのでしょうか? なぜそんなことが気になるのでしょう? まずそこを考えてみてね。
スカートの話を聞いて、文化の影響の大きさが実感できた。昔は、スカートに似た?浴衣があった。でも、スカートの概念が入って来た時に、女性の服という固定観念が着いてしまったと思う。だから、スカートは女性専用になってしまったのだろう。
いや、そうじゃないでしょうね。あまり憶測だけに走らないように。
同性愛も文化のせいで差別されてるんだと思いました(*_*)僕は別にいいと思います。先生はどう思いますか?
差別とは個人が「別にいいと思います。」といって片づく問題ではないので、もう少し別の問いを立てられるようになりましょう。
女同士でもホモがあるのにビックリした。俺は同性愛には反対しない立場だ。そもそも異性を愛せなどの定義はないしその人それぞれの恋愛の仕方があると思うので…まぁ男同士が周りにひかれるのはちょっとわかるかも…
はい、その「まぁ」から後ろが問題なのですね。
最近まで大学内で性差別があったことを聞いて驚いた
今でもあります。
付き合っているひとが「両親と美術館に行って〇〇の絵を見てきた」と言った時に、自慢?と思った。本人には当り前なのかもしれないが、わたしが自慢されたと感じたのは象徴権力を行使されたことによるのですか? 何かが違うとは感じてたんですが、階層が違うんですね。
本人は自慢しているつもりは全然無く、むしろ感動を伝えたいということのほうが多いのでしょうけどね。わたしも初めてのデートでミニシアター系の映画を見に行きたいといわれて引きました(^^;)。
今日は階層の一貫、非一貫性について理解した。自分は中流だと思い込んでいたが違うかもしれないと思った。もしかしたら上流貴族ですか。
それは違います。(笑)どのぐらい可処分所得あります? 1000万円以上?
バーキンは負け犬の象徴!とかのAERAを私も読んでいたので今日の授業はおもしろかった。女性が自身を負け犬だと言って笑うのは物悲しいかもしれないけど働く女性の日本の文化への不満も、自分の悲しみも「負け犬」と言って頑張る人たちはすごいと思ったことがあります。あんまり授業とは関係ないけど(^o^;
じゃなくて、「バーキンを自分で買う」のが負け犬の象徴でわ(^^;)。
私は日本社会は不平等だと思います。貧乏人の子は貧乏から脱出したり、立身出世などはほんとうに難しいことです。ゆとり教育がどうとか変化をくり返しても、教育の中で経済的弱者層の人々の心理に影響を与えるほどの変化は、ほとんどのぞめないからです。 私の話をすると、高校のときは働きすぎて高校生活自体中途半端になり、大学ではもっと楽しむために友達を多くつくろうと思いましたが、以前のヒネくれた感情がフツフツと思い出されました。友ダチ減ったら先生のせいです。(笑)
それでも友ダチ増えたら、「オトナになった」ということなんではないでしょうか。わたしの心の平穏のためにもぜひそうしてください(^^;)。
才能と努力と条件全部あるにこしたことはないですね
身も蓋もない意見ですよ、それは。(笑)
社会的条件によって個人の能力が左右されてしまうのはえらく不平等な気がする
そういう社会だっていうことです。わたしが不平等にしているのではないので、こっちに向かって怒らないでね。
人それぞれの能力はその人自身で変えることが可能なもので、努力せずにできないと嘆くことはよくないと思った。
もう少し講義の内容を踏まえて「感想」なりなんなりを述べるようにしてください。
学歴が例え低くても、プリントの表から、頑張れば専門職に就くことができるのではないかと思った。中卒でも専門に就くパーセントは0ではないので。
この話は今日しました。0ではないからやっかい(がんばればなんとかなる、という期待が生まれる)だということ。上位の階層が社会的に優遇されているということと、個人が努力すれば上位階層にくいこめるということは、両立することです。両立しているのが近代以降の社会の基本なわけ。
個人の能力は社会的条件に左右されるというのはあまり納得できなかった。どんなことにも才能とか、努力が大切だと思うからです。
講義中に言ったように、才能や努力が無になるわけではありません。どうしてそういうふうにAll or Nothingで考えたがるのかなあ? っていうことと、講義中の話をどうして聞いていないのかなあ? 毎回すごく不思議です。サウンドスケープっぽい理由かしらん?
新中間層とその他の階級の言語体系の違いってなんですか? それが違うと学校で優遇されるなんて…ぜひ聞いておきたいです。
優遇されたいですか?(笑) でももうみなさんの年齢になると決まってしまっていることですけどね。
ハビトゥス形成が子供の成長に大きく関わるということはその通りだと思った。やはり頭の良い親(医者など)の子は、知的刺激を受けることが多いし、小さいときから習いごとなどをさせられるので頭が良くなり、そしてゆくゆくは親の職業階層を受け継ぐのだと思った。子供の成長は親によるところも大きいと思った。
頭が「いい」というと、その反対は「わるい」なんでしょうか。「いい/わるい」ではなくて、どんな性質のハビトゥス形成をされるかということと考えた方がよいでしょうね。
ジェンダー化のプロセスで学校に入って意識づけられてしまうことが恐いと思った。学校の影響力はでかい。女子高生達が今後スカートをミニにするのではなくジョージアのCMのサトエリ達のようにスーツを着だしたらそれは社会のジェンダーに対して新たなことがうまれたことになるのだろうかと思った。
みんながやったらどうかわかりません。ただし学校の規則違反になるので広がらないと思います。『リボンの騎士』のサファイアから『少女革命ウテナ』の天上ウテナまで、いわゆる「男装の麗人」たちはみな孤立(一人だけということではありません)しているのです。
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